<消費税>「景気が後退」「必要なら」…閣内に温度差(毎日新聞)

 菅直人副総理兼財務相が3月から、消費税率引き上げを含む税制抜本改革に着手するとの意向を表明したことについて、16日の閣議後の会見で、閣僚から発言が相次いだ。所得税や法人税など税制全体を見直す必要性にほぼ異論はないものの、消費税増税を前提とした議論は積極派から反対派まで幅広く、閣僚間の温度差は大きい。

 「消費税(増税)ありきという議論には立たない」。原口一博総務相は会見で、こう強調。「疲弊した経済に増税すればかえって(景気がさらに後退し税収が減るため)財政赤字は拡大する」と景気回復前の増税にクギを刺した。

 福島瑞穂少子化担当相は、消費税増税で年収の少ない世帯の負担が増えるとして「議論はいいが、税率引き上げには反対だ」と社民党代表として反対の姿勢を鮮明にした。亀井静香金融担当相は「消費税だけを取りだして議論をするほど暇ではない」などと一蹴(いっしゅう)した。

 これに対して、「ムダを排除した上で、必要なら上げる」(直嶋正行経済産業相)「消費税、所得税すべての(税の)バランスを考える必要がある」(仙谷由人国家戦略担当相)と増税の必要性をにじませた声も少なくない。

 鳩山由紀夫首相は「この4年間は(消費税を)上げないが、議論することは結構だ」との立場だ。菅財務相はこの日、「あらゆる税について本格的議論をそろそろ始めるべきだ」と意欲をみせたが、閣僚の意見は多様なだけに曲折は避けられそうにない。【寺田剛】

【関連ニュース】
消費税:自民に影響必至 参院選「対立軸」あいまいに
消費税:「4年間は上げぬ」首相
菅副総理:次期衆院選前の消費税引き上げ否定
菅財務相:消費税議論「3月から」 大幅前倒し意向
谷垣総裁:消費税10%以上必要

<検察会同>「検察として深い反省」足利事件で検事総長(毎日新聞)
五輪カーリング 近江谷選手、2代挑戦「父の5位超える」(毎日新聞)
自民党、鳩山首相の母の出張尋問も考慮に…町村元官房長官が表明(スポーツ報知)
鳩山首相 冬季パラリンピック選手にエール(毎日新聞)
北教組の献金事件追及へ=「民主の3大資金疑惑」−自民(時事通信)

福岡地下鉄「キャナル経由」新ルートで延伸 天神南→博多(産経新聞)

 福岡市営地下鉄七隈線(天神南−橋本、営業距離12キロ)の延伸計画で、市議会交通対策特別委員会は、天神南駅から商業施設「キャナルシティ博多」を経由しJR博多駅へつながる約1.4キロを延伸ルートとすべき−との報告をまとめた。他の検討ルートに比べ採算効率が高いなどとする市の試算を踏まえた。23日の本会議に報告。これを受け市は同ルートでの事業化に着手する。

 七隈線沿線から乗り換えなしで博多駅へ行くことができるようになるなど、大幅な利便性向上が見込まれる半面、天神地区と博多駅周辺を結ぶ西日本鉄道の路線バスへの影響は必至。西鉄の竹島和幸社長は1月28日の記者会見で「延伸されればバスには相当の影響がある。交通分担について市と話し合う必要はある」との認識を示している。

 七隈線延伸をめぐっては、キャナル経由ルートのほか、天神南−中洲川端−海岸部(約2.3キロ)▽天神南−中洲川端(約1.2キロ)▽薬院−博多(約2.5キロ)−の3ルートが検討されていた。市の試算では、3ルートの建設費が約600億〜約800億円であるのに対し、キャナル経由は約450億円。単年度損益の黒字化にかかる期間も、3ルートは26〜64年程度、キャナル経由は6年程度という結論が出た。

 こうした点を踏まえ、特別委は「(キャナル経由が妥当という市の)報告に基づき、調査・検討を進めていくべきである」との報告を本会議で行うことで合意した。

【関連記事】
JR日豊線、特急にはねられ男性死亡
博多港、21年は4年ぶり輸出減少
アレンジたこ焼きで新顧客獲得へ 酒場、家庭で大人気
竜馬も登場、若手俳優ら競う花形歌舞伎 2月に博多座で
JR九州が九州新幹線の駅名発表 博多〜熊本間

高木美帆選手 姉の菜那選手が世界ジュニア代表に(毎日新聞)
<囲碁>阿含・桐山杯が開幕(毎日新聞)
「職責全うしたい」石川氏、議員辞職は否定(読売新聞)
放火罪の被告に無罪…大阪・西成の3人死亡火災(読売新聞)
岡田外相が19日から豪州訪問(産経新聞)

「お家芸復活、素晴らしい」=メダル獲得で鳩山首相(時事通信)

 鳩山由紀夫首相は16日夕、バンクーバー冬季五輪スピードスケート男子500メートルで長島圭一郎選手が銀メダル、加藤条治選手が銅メダルを獲得したことについて、首相官邸で記者団に「日本のお家芸復活で、素晴らしい。やはりメダルを取ってくれると、日本人のみんなが気分が高揚する」と述べた。
 首相は「これからもまだ(競技が)いろいろあるから、選手の皆さんに大いに期待している」と強調。「注目している競技は」との問い掛けには、「やっぱりフィギュア(スケート)は関心あります」と語った。
 平野博文官房長官は記者会見で「大変喜ばしい。心から祝福を申し上げたい」と述べた。 

【関連ニュース】
【特集】話題騒然 ファーストレディー
〔写真特集〕美人すぎる市議 藤川ゆり
〔写真特集〕華麗なる仏大統領夫人 カーラ・ブルーニ
パレスチナ支援で日本と協力=能力開発分野中心に
支持率下落、政治とカネ影響=「民主らしさ」で回復期す

<マータイさん>原爆慰霊碑に献花、高校生らと植樹も(毎日新聞)
空き巣容疑で中国人3人逮捕=「100件やった」−警視庁(時事通信)
漁船の船長2人逮捕へ=位置情報切った疑い−海保(時事通信)
ブルネイの王、クリントン…200億集金「サンラ・ワールド」の壮大な釣り針(産経新聞)
<民事再生法違反>容疑のIT会社社長ら6人逮捕 警視庁(毎日新聞)

町田と相模原が証明書発行で協定(産経新聞)

 市境を接する町田市と神奈川県相模原市は、双方の窓口で相手市民の住民票や戸籍謄本など各種証明書を発行するサービスを4月から始める。町田市の石阪丈一市長と相模原市の加山俊夫市長が10日、相模原市役所で協定書に調印した。総務省によると、都県境をまたいでのこうした協定締結は全国初という。

 発行できるのは住民票の写しや印鑑登録証明書、戸籍全部事項、戸籍謄本・妙本で、町田市では市役所など3カ所、相模原市では中央区役所など3カ所の窓口で取り扱う。

<ボーン上田賞>09年度は該当者なし  (毎日新聞)
神戸発デザイン世界発信 研究拠点を創設 全国からクリエーター終結(産経新聞)
聖地・しまなみ海道、「タンデム自転車」解禁へ(読売新聞)
元選対幹部有罪判決で民主・小林氏、辞職を否定(読売新聞)
「わんこそばは心理戦」大分の精神科医が3連覇(読売新聞)

L&G元会長に懲役18年求刑 「円天、空前の大詐欺」(産経新聞)

 健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」(L&G)の巨額詐欺事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われた同社元会長、波和二被告(76)の論告求刑公判が8日、東京地裁(山口裕之裁判長)で開かれた。検察側は「3万7千人から1285億円を集めた他に類を見ない空前の大規模詐欺」と指摘して懲役18年を求刑、弁護側は無罪を主張して結審した。判決は3月18日。

 検察側は論告で、「返済の見込みがないのに、(独自通貨の)『円天』制度を大々的に宣伝し、収益があるように信じ込ませた。有名歌手を呼んで無料イベントを行うなどして、返済能力があるように被害者らを信じ込ませた」と指摘。波被告の指揮・統括の下での犯行とした上で「平成18年3月ころまでは月550万円、以降は毎月900万円の役員報酬を得るなど、15年以降だけで少なくとも16億5千万円の利得を得た」と批判した。

 波被告は最終意見陳述で「『円天』が各国で採用されれば、詐欺ではなかったということが証明される」などと持論を展開した。

 起訴状によると、波被告は18年7月〜19年1月、年36%の利息と元本保証を約束するなどの虚偽説明をして、31人から計約3億2700万円を詐取したとされる。

外国人遺体 成田着デルタ機の主脚格納部に 密航目的か(毎日新聞)
電源コード断線で火災多発=こたつや電気あんか、突然発火−製品評価機構(時事通信)
陸山会事件、首相「小沢氏さらに説明を」(読売新聞)
国庫負担肩代わりに反対運動展開へ−健保連(医療介護CBニュース)
山形大 「文章のいろは」必修科目に(毎日新聞)

野口飛行士 宇宙からDJ 「きぼう」で初ラジオ収録(毎日新聞)

 国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の宇宙飛行士、野口聡一さん(44)が、FMラジオのDJ(ディスクジョッキー)に挑戦する。収録スタジオは、ISSの日本実験棟「きぼう」。きぼうでのラジオ番組制作は初の試みだ。

 FM局「J−WAVE」(東京都)が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力で実現させた。収録は1月中旬。宇宙での生活や任務として担当する実験の内容を紹介し、同局が事前に集めたリスナーからのメッセージを読み上げた。音楽のリクエストには、流ちょうな英語で曲を紹介するなど、本職さながらの場面も。

 放送は15〜18日の毎日、午後0時20分から約10分間。番組「MUSIC PLUS」に特設コーナーが設けられる。また同局は4月29日午後6時から、JAXAや米航空宇宙局(NASA)のスタッフへのインタビューなども交えた特別番組も放送する。【奥野敦史】

【関連ニュース】
野口聡一さん:鬼は地球の外?…チョコで宇宙の「豆まき」
野口宇宙飛行士:北海道の子供たちと交信 質問に答える
鳩山首相:野口宇宙飛行士と交信“宇宙人”として質問連発
野口聡一さん:和服で書き初め ISSで正月行事
雑記帳:宇宙から「おめでとうございます」 野口さん

山崎拓氏を自民党シンクタンク所長に(産経新聞)
トヨタの対応注視=平野官房長官(時事通信)
外国人参政権で意見交換、地方側から反対意見続出 全国議長会(産経新聞)
ケニア大使公邸で火災=けが人なし−東京・目黒(時事通信)
携帯に「着ネタ」で笑いお届け(産経新聞)

<大雪>車100台以上立ち往生 76人が避難 新潟市で(毎日新聞)

 新潟市で6日、吹雪による視界不良のため通行止めになった国道116号(新潟西バイパス)から周辺の広域農道へ迂回(うかい)した車が雪にはまるなどして次々に立ち往生した。同市によると、午後8時現在、数カ所で計100台以上が動けなくなっているという。同市は周辺の体育施設など7カ所に避難所を設置。午後6時半現在、3カ所に計76人が避難した。このうち58歳の避難者が呼吸困難を訴え、救急搬送された。

 新潟市によると、国道116号は同市西区の曽和インターチェンジ−明田交差点間の約4.5キロで、午前5時から午後2時40分まで10時間近く通行止めになっていた。

 吹雪は夜になって弱まってきているという。【畠山哲郎】

【関連ニュース】
大雪:東北、北陸に寒気直撃…京都・金閣寺雪化粧
立春:各地でこの冬一番の冷え込み 都心で氷点下0.4度
大雪:新潟で100センチを予想 4日午後6時までに
雪:交通機関乱れる…スリップ事故や転倒も 関東地方
雪:東京都心、2年ぶり雪化粧…1センチ積もる

羽毛恐竜、全身の色を推定=色素を現在の鳥と比較−中国(時事通信)
高橋伴明監督、立松氏死去に「いつもニコニコと笑顔で菩薩のような人」(産経新聞)
タミフルの輸入代行 薬価の3〜5倍 「個人」規制なく野放し(産経新聞)
<航空機座席>安全試験結果改ざん 小糸工業に業務改善勧告(毎日新聞)
<脱税>容疑の社長ら逮捕…名古屋地検(毎日新聞)

<自民>週末に全国で街頭演説 首相や小沢氏追及(毎日新聞)

 自民党は週末の6、7両日、鳩山由紀夫首相と小沢一郎民主党幹事長の「政治とカネ」の問題などを追及するため、全国一斉の街頭演説に乗り出す。小沢氏は不起訴処分になったものの、「幹事長職にとどまる限り、民主党の支持率は確実に下がる」(幹部)とみて、国会論戦と並行して各地で有権者に直接アピールする戦術だ。

 大島理森幹事長が5日、各都道府県連に文書で指示した。首相らの政治資金問題のほか、小沢氏の意向が強く反映される鳩山政権のあり方などについて、党所属国会議員や今夏の参院選候補、地方議員らがそろって批判を展開する。谷垣禎一総裁は6日、京都市で街頭演説する予定。

 ただ、党本部の要請が急だったため、準備が間に合わない地方組織が続出し、5日夕までに実施が決まったのは11都道府県連にとどまっている。【田所柳子】

【関連ニュース】
田村参院議員:民主入りへ 昨年、自民離党 小沢氏と会談
平野官房長官:小沢氏不起訴「良かった」
衆院予算委:鳩山首相、政治とカネ問題「根を絶つ」
小沢一郎氏:「公正な捜査の結果」
小沢一郎氏:幹事長続投を表明

<書の甲子園>校名プラカード揮毫も真剣 岡山・明誠学院高(毎日新聞)
大丸神戸店の現場も確認=高級腕時計窃盗で香港捜査員(時事通信)
<訃報>堀武夫さん92歳=元運輸事務次官(毎日新聞)
エコカー補助金制度延長 車選び、色もポイント(産経新聞)
男女3人刺され? 2人意識不明=JR石巻駅近く−宮城(時事通信)

兵庫・佐用町、台風被害から半年 癒えぬ甚大な被害の傷(産経新聞)

 台風9号に伴う豪雨で昨年8月、犠牲者18人が出るなど大きな被害を受けた兵庫県佐用町は9日、豪雨から半年を迎える。河川や道路の復旧整備計画がようやく整い、修復工事も本格的に始まるなど町は以前の姿を取り戻しつつあるが、自宅が大きな被害を受けていまも生活困難な住民もおり、「雨が降るたびに不安になる」と不安を訴えている。

 町や県によると、豪雨では河川や道路、橋など400カ所以上が被害を受け、危険個所には土嚢(どのう)を積むなどして応急措置を行ってきた。財政的に本格復旧は難しく、災害時に国が復興事業を負担する「公共土木施設災害復旧事業」の査定で、ようやく1月末、工事の入札が行われ、順次工事が始まった。

 復旧工事を含め今後500億円規模の水害防止対策工事が行われる予定で、町建設課は「かつてない規模だが、22年度中にすべての工事の発注を終えたい」としている。

 一方、豪雨では民家139棟が全壊、269棟が大規模半壊するなど約1800棟が被害を受けた。

 いまも64世帯155人が仮設住宅で暮らしているが、入居していない世帯でも自宅の修理が手つかずの家が多い。

 同町平福で食料品店を営む女性(68)は、店舗兼自宅が大規模半壊。大部分の部屋はまだ床板や畳をあげた状態で、ひと部屋で寝起きや食事をしている。床下の柱は斜めに傾いており、女性は「雨が降るだけでぞっとする。工事する資金のめども立たない」と不安を打ち明ける。

 自宅が半壊した主婦、黒川弘美さん(66)宅も、床板や畳を張り替えたが、いまなお床の間から泥が出てくる場所もあるという。黒川さんは「外から見ると元の風景を取り戻しているようにみえるが、(本格復旧は)まだまだです」と話している。

【関連記事】
被災地出身の女子大生が斬新な堤防を発表 兵庫
癒えぬ悲しみ、豪雨被害で慰霊祭 兵庫・佐用町
佐用豪雨から4カ月 不明の2人の家族ら懸命捜索
60世帯、仮設で年越し 豪雨の傷癒えぬ兵庫・佐用町
豪雨被害の兵庫・佐用町の川を改修へ

都職員、酒酔い運転で逮捕=埼玉県警(時事通信)
栃木県庁でガソリン持った男逮捕(産経新聞)
<海底火山>福徳岡ノ場が噴火 4年半ぶり 南硫黄島沖(毎日新聞)
倉庫からビア樽窃盗 容疑の男「3年間で1万5千個」(産経新聞)
お歳暮に拳銃構えた写真、弁護士が嫌がらせ(読売新聞)

<歴史共同研究>政権に影響、中国側懸念「戦後史は非公表」(毎日新聞)

 中国側の要請で非公表となった日中歴史共同研究の戦後史部分では、天安門事件や文化大革命など共産党統治の正統性や国民感情にかかわる極めて敏感な問題が含まれており、中国側の論文は簡単な言及にとどめた。日本側の論文が、現政権に影響を及ぼしかねない指導者の功罪に触れている点も、中国側を刺激することは避けられず、非公表を要請した理由が多岐にわたることが日中双方の論文からうかがえる。【北京・浦松丈二】

 「1989年6月4日未明、中国共産党が人民解放軍を出動させ、学生及び市民の民主化要求運動を武力弾圧した」。日本側論文は天安門事件をこう記述した。国際社会の一般的な評価だろう。

 一方、中国側は「中国で政治騒動が起こり、欧米国家は中国に対して制裁を発動した」と共産党の評価に沿った内容で、犠牲者の数や事件に至る経緯には触れていない。

 犠牲者の遺族や知識人は事件の再評価を今も求めている。日本側論文は再評価を迫ったわけではなく、事件後の日中関係の分析に力点を置いた。だが、中国政府関係者によると、日本側の記述は党決定とは異なるため、公表できないという。

 大事件の歴史評価は党が機関決定する。事件を処理した党指導者の評価に直結するからだ。特に、天安門事件では、当時の趙紫陽総書記が学生らに同情的な立場を取ったとして失脚し、江沢民氏が総書記に抜てきされた経緯がある。再評価が進めば、引退後の現在も政権への影響力を残している江氏の正当性が問われかねない。

 また、日本側は98年の江沢民国家主席の訪日について「言動は多くの日本人の失望と反発を招いた」「歴史認識について対日批判を展開したからである」と指摘した。

 中国国内の日本研究者の間でも、こうした評価はほぼ定まっているが、国家指導者の業績に泥を塗る見解は公表できないため、政府の公式見解を踏襲するしかないのだ。

 文化大革命についても中国側の論文がほとんど触れていないのに対し、日本側は「暴力やリンチをともない中国全土で多数の犠牲者を出した」と記した。共産党が誤りを認める文化大革命にしても、国外の研究者から言及されることに対する国民の心理的抵抗は強く、非公表要請の理由の一つとみられる。

 関係者によると、中国側で戦後史論文の大半を執筆した日本研究者、金熙徳氏は昨年、韓国の情報機関に北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の健康状態を漏らした疑いをかけられ、現在も当局の取り調べを受けている。共同研究には著名な研究者が名を連ねているが、政治的に安全な立場が保障されているわけではない。

 中国政府は「双方が発表した論文は筆者の見方を表している」(馬朝旭・報道局長)との立場だ。だが、戦後史を扱う以上、中国側の研究者が政治的リスクを抱えることは明らかで、今後の足かせとなることを印象づけた。

 【ことば】日中歴史共同研究

 1972年の日中共同声明など三つの政治文書の原則と「歴史を直視し未来に向かう」との精神に基づき、06年に日中有識者計20人で構成する歴史共同研究委員会を設置し、研究が始まった。歴史問題を巡る対立感情を和らげ、友好関係を深める狙いがあるが、各論文の内容は「執筆者本人の認識」としている。新委員で第2期研究を予定している。

 ◇解説 冷静な議論、積み重ねを

 日中両国の「歴史認識問題のトゲを抜く」ことを目的に始まった共同研究だが、その報告書は「有識者の個人的意見」に委ねられていることが、最大の特徴と言える。中国側の執筆者は、中国政府の意見が反映されやすいとされる北京大や社会科学院などの研究者で構成。日本側は北岡伸一座長をはじめ、保守論壇で活躍する政治学者らが中心だった。

 例えば、第1章を担当した坂元一哉・大阪大大学院教授は、「保守の論客」として知られた故高坂正堯・元京都大教授の門下で、日米関係史を専門とする国際政治学者。日本の集団的自衛権行使の可能性を論じた安倍晋三首相(当時)の私的懇談会で中心的役割を果たし、日米核密約有識者委員会の委員も務める。

 ある日本側関係者は「中国史専門の学者が書くと、中国寄りの内容になりかねない。結果的に保守を自任する政治学者の多用につながった」と内情を語る。実際、有識者の人選次第では、保守派が忌み嫌う「自虐史観」が前面に押し出された研究内容になった可能性もある。

 第2期共同研究では現在、委員の人選が進められている。どのような顔ぶれになろうとも、大局的見地に立った両国の冷静な議論の積み重ねが求められる。【中澤雄大】

【関連ニュース】
人権活動家:成田空港に77日…中国政府の帰国拒否に抗議
日中歴史共同研究:内容報道のNHK放送 中国国内で遮断
日中歴史共同研究:報告書を公表 南京事件隔たり埋まらず
日米密約:報告書取りまとめ延期…2月下旬以降に
沖縄返還密約:有識者委が財務省に資料要求 補償費負担で

国歌不起立の教職員名収集、神奈川県教委が継続(読売新聞)
山本病院元理事長ら逮捕、手術患者死亡で(読売新聞)
普天間移設「覚悟読み取って」 参院決算委で首相(産経新聞)
<茨城空港>4月からスカイマーク神戸便が就航 初の国内線(毎日新聞)
首相「秘書逮捕、小沢氏に当然責任ある」(読売新聞)

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。